なぜか子供が自主的に練習回数を増やし集中するツール

レッスンのときですら、大した回数でもないのに、やる気がなくダラダラしたり、乱暴に弾いたりと、なかなかきちんとやってくれない生徒がいます。しかも、私の教室では、珍しくないどころかそれいが普通。自宅で練習させるときの親のイライラが想像ついてしまうわけです。

そんな中、僕が元々練習回数を制限するために使っていたあるツールが意外と子供が喜びます。そのツールとは、よく入場数を把握するためなどに使われている「カウンター」のことです。期待して、イライラして、諦めて、でもこれでは…と、負のサイクルに陥っている場合は、試してみるといいかもしれません。

1. カウンターに興味を示すか確認する

カウンターのいいところは、年齢を問わないところだ。子供に練習をやらせる方法を説明するが、大人にも有効なツールだ。

1-1 小学校上級生の場合

小学生3年生以上は、カウンター自体に興味を示さなくても、視覚的に残りの練習量を把握でき、ないときよりも集中して練習する。練習回数の決め方は、練習内容によるが、まず、どこをどの程度できるようにするかを決め、それをできるようにするためには何回の練習が必要かを極力子供に決めさせる。なるべく短く終わる曲、フレーズがいいだろう。ハノンなどの技巧練習がルーティンになっている場合は、あらかじめ回数を決めておく。

1-2 幼児から小学校低学年の場合

幼児などの小さい子に関しては、カウンターをカチッと押したがるので、「練習を1回したら、1回押せる」と伝える。そして、「何回練習するか」と子供に質問する。著者は、その際、「9999回まで数えられるよ。5000回くらい?1000回?100回?」などとあえて大きな数を言う。すると大概は、20回とか10回などと言ってくる。

2. 練習回数は多くし過ぎない

特に小さい子供は、カウンターに興味を示し、たくさん押したいのでたくさん練習すると言い出す場合があり、親としてもうれしくなる。すると、たくさん練習させたくなるが、無理はいけない。カウンターがあるだけでやる気を示すのは短期間だけで、その間に「練習の習慣化」させるのが大きな目的だ。子供によっては1回で飽きてしまうこともあるかもしれない。

これまでの練習と著しく練習回数が異なる場合は、回数を訂正してあげよう。その場合は、せっかくやる気になっているモチベーションを壊さないように声をかけてあげることが大切だ。

3. 練習回数を少なく言う場合

5回程度の繰り返しには慣れてほしいところだ。それ以上に、回数というよりも「できるようになるまで反復する」という基本、達成できるゴールを見せることが大切だ。一番、簡単な方法は、最初のルールに5回以上と加えてしまうことだ。雑に練習してしまう場合は、「丁寧に」と加えるといいかもしれないし、リズムがいい加減な場合は「メトロノームを使って」と加えてもいい。

罰ゲーム形式で、指定回数までに上手に弾けなかったら「5回プラス」というようなルールもありだ。これだと子供は慎重に回数を考えるようになるが、難しい部分の練習では、そもそもその日のうちにできるようにならない可能性もあるので、注意が必要だ。曲が難しくなったときは、何回やってもその日のうちにできるようにならないことも増え、すぐにできないことが前提で継続的に、練習をするようになる。もしも、できるようになることが前提になってしまうと、難しい部分で何日もできない状況が続ければモチベーション低下につながるので注意が必要だ。

4. 習慣化しやすいテクニックやエチュードの練習にも活用しよう

回数で管理する練習は、シンプルな練習と相性がいい。ピアノでいえば、技巧訓練(ハノンなど)やエチュードの練習がいいだろう。ある程度、弾けるようになってからが前提だ。これは、単純に「できるようにする」と言うことではなく、ただ弾くだけだ。もちろん、その日の目標や目的があった方がいいのは言うまでもないが、そのような余計な理想論をこじつけると、難易度が一気に増してしまう。

ピアノは様々な指の動きがあるが、使うパターンは決まっている。このよく使うパターンは、一つ一つを期間をかけてマスターしていくのがおすすめだ。全部のパターンを弾きこなすことを意識して、練習量が足りないまま次のパターンに入ってしまう人が多い。パターン練習、いわゆるテクニックの練習は、単純に筋肉トレーニングと同じような感覚で、練習するといいだろう。筋肉トレーニングは複数の種目をやるかもしれないが、ピアノの場合は、1つのパターンを何ヶ月やってもいい。

学校に行く前に、学校から帰ってきてから、ピアノの練習の最初に、夜寝る前など、練習タイミングと練習回数を決めて、ただノルマをこなす。マスターできたと実感ができてから、次のパターンに進もう。ただし、全く弾けていない曲では意味がない。指の動きを練習しているのに、指が迷っているようでは練習にならないのだ。そのため、次の曲(パターン)に進む目安は、練習する曲の準備ができている(弾けている)ということになるだろう。

5. 上級者の使い方

時間を気にして練習などしていては、大きい曲を仕上げることはできない。そのようなことは承知しているが、時間は有限だ。練習の効率を上げていくことも、大切だろう。著者は、なぜカウンターを持っているのかといえば、難しい部分を練習する際に、回数を決めて、それでもうまく弾けない場合は、翌日の練習に切り替えるためだ。

部分練習で偏りがあると、曲全体の仕上がり時期に影響してしまう。基本は納得いくまで練習するため、あらかじめ時間を決めておいても、納得できなければいつまでも同じ部分を練習してしまうことがあった。そこで、回数を決めてやることにしたが、ただでさえできていない部分を練習しているのに、その上、やった回数を覚えておくのは、頭の良くない著者には厳しかった。結局、練習をやり過ぎてしまい、その他の練習がこなせなくなることが続いた。そこで登場したのがカウンターだ。

ジユン

ジユン練習って最高!

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東京都出身。仕事は、ピアノ教えたり、たまに弾いたり、曲を書いたり。ピアノ好きだが練習は大嫌いであまりしない。そのため、演奏はミス多め。好きな言葉は、「かゆいところはかゆいまま」。好きなスポーツは野球。ニックネームは、兄貴だけが使う呼び名、由来は謎。
年齢は、理由もなくなんとなく内緒にしていたらどんどん言いづらくなって、いまだなんとなく非公表。

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