演奏中の動作

ピアノを演奏する時、体を拍子やフレーズに併せて、動かす人がいます。僕もその一人。子供の時の癖は、肩が上がること、フレーズに合わせて、体を動かすことで、よく注意されていました。その癖が気になりつつも、なかなか直すことができず、中学か高校くらいだったでしょうか。僕にしては珍しく、強い意志を持って、直そうと決意して、ある程度は、直りました。

なぜ、直そうと決意したのか。ビデオをみると弾いている姿がかっこ悪かったんです。小さいころから気になっていたんですが、身長のせいだと思っていました笑。でも、体が大きくなっても、ダサかったんです。そこで気づいちゃったんですね。先生に注意されたことを真剣に直そうとしてないからだと。かっこよくなくていいからとにかく人並みにという思いで直しました。

ただ未だに、演奏が不安定になりそうになるとき、変な体の動きをしますね。体の力を抜こうとしたり、拍子をとろうとしたりするときですが、参考動画なんかは、あまり練習をしていない曲ばかりですので、体がずいぶんと動いています。

ピアノ演奏の際、体は動いていいものか考えてみたいと思います。

演奏のとき体は動いてもいいか

結論を言えば、動かさない方がいい。もちろん、全く動かさずに岩になるべきかと問われれば、それは違う。フレーズを歌わせるため、または力を抜くためなど、演奏によい効果を与えるのであれば構わない。もちろん、ジャンルによっては、聴衆を楽しませるために、大きな動作を行うこともあるかもしれない。ここでは、聴衆を意識した動作である場合は除く。

体を動かすのは、演奏効果を目的とするよりも、無意識で行っていることが多い。体を動かしてはいけないということではなくて、演奏に影響がないか、もしくはよい演奏にしなければいけない。悪い影響を与えてはいけないのだ。

しかし、初心者の多くの場合、悪い影響を与える。

    • リズムを刻むため、体を動かす
    • 打鍵する際に、体も指と同様に動かす
    • 弱い指を打鍵するときに体が動く
    • 苦手なフレーズの際に体が動く
    • フレーズに沿って体を動かす
    • 力を抜く為に体を動かす

この中で、指導者が違和感を覚える動きは、演奏に悪い影響を及ぼす。すでに悪い影響が演奏に出ているケースが多いが、その曲の演奏にたまたま影響していなくても、今後やる曲では悪い影響が出ることがわかる。つまり、違和感がなければ、とても自然な体の動きなので、直す必要はない。

1. リズムを体で刻む

リズムがうまく取れない子供がよくやる動作。人によって、体全体を動かすケースと頭だけ振っているケースがあるだろう。この動作は、リズムを崩れないようにするためなのに、リズムが崩れる。また、疲れてくれば体の動きがゆっくりになり速度が変わる。多くの場合、手首も安定せず、指の動きもよくならない。

音楽性の面でも、体の動きに併せてアクセントがついてしまい、非常に重く、雑な印象を与える。リズムの訓練は、体を使うと効果的だが、ピアノの演奏に関しては、頭で拍子を数える方がよいだろう。その為に、リズムの練習は、体だけではなく、頭の中で取らせる訓練も行う。リズム感覚を養うのと、培ったリズム感を演奏に活かすのは別の問題だ。メトロノームを用いて練習させ、体が動いているときは伝えてあげる必要がある。癖がひどい場合は、支えてあげるとよいだろう。

2. 打鍵するとき、体も指と同時に動く

鍵盤を把握したら、早急に直した方がいいだろう。多くの場合、手首も同時に動いていて、指が動いていない。それでは、指は動くようにならない。打鍵ごとに、体を振ると、速いパッセージが出てきたら、対応できない。

この動作をする人は、体だけ動いて、打鍵しないことがよくある。これが癖になると、焦ったり迷ったりするとすぐに体だけ前方に動き、打鍵を止めてしまう。リズムどころではない。本来であればミスタッチをしないことを優先すべきだが、この場合は、ミスタッチをした方がまだいい。また、指を押すことだけを意識してしまい、上げる意識がないことが多い。鍵盤を押しっぱなしにしたり逆にすぐに離してしまったり、基礎的な打鍵が身に付かないことがあるので、早急に直したい。

まずは、注意してみて、直らないようなら、こちらも支えてあげるしかないだろう。体の動きが直れば、手首の上げ下げも直していく。なかなか直らず、再発も多い。大人は、自分で意識しなければ直らない。

3. 弱い指を打鍵するときに体が動く

指が動かないので体が反応してしまう。2.の症状と同じだが、特定の指のときだけ強く押そうする。弱い指を強くしようと力を入れたり体重をかけたり、手首を上下させる経験を持っている人は多い。特に4指のときだろうか。しかし、癖がつくと体が勝手に反応してしまうようになり、4指を弾くときだけ体を動かすようになってしまう。これでは、指が動くようにはならない。

弱い指を強くするときに注意しなければいけないのは、「他の強い指と同じような動作」をすることだ。弱い指だけを訓練するときも、焦って、力んでしまったり手首を使ってしまっては、他の指と同じような動作にはならない。また、弱い指を強い指と同じような感覚にしたいと思うのも、もしかしたら危険かもしれない。欲張らずに、弱い指は演奏に必要な最低限の動きができればいいと考えれば、焦ることがなくなるだろう。

4. 苦手なフレーズの際、体が動く

3.と似ているが、指ではなく、苦手なフレーズで、もたついて、速さを安定や指が転ぶのを防ぐために体を振る動作。これも多くの方が体験している症状だ。この症状は、実力以上の速さで弾いていることが多い。覚えたと思ったら、すぐに速くするのではなく、10回程度、我慢してゆっくりと練習しよう。10回連続でできたら、少しだけ速度を上げる。こうして徐々に速度をあげていくと自然な仕上がりになる。メトロノームを使用しなければ、回数を重ねるごとに速くなってしまう。

最初から最後まで通すのが理想的だが、曲の長さや苦手の度合いによっては、細かく取り出し部分練習でも構わない。苦手な部分に全体の速度を合わせて練習することがとても大切だ。

5. フレーズに沿って体を動かす

体、肘ともに、フレーズに沿って動作することは悪いことではないが、どんなことでも限度がある。動作が小さければ委縮してしまう人もいるかもしれないし、動作が大きすぎて、タッチに影響が出ている人がいるかもしれない。適度に体が動くのは問題ない。

たまに強弱をつけるときに特定の動作をする人もいる。特に小さい音を出すときに前かがみになる人が多い。本当に必要な動作なのか考えよう。前かがみになることが問題なのではなく、前かがみにならないと小さい音が出せないことが問題だ。アクセントをつけるときに、体を使う人もいる。大きい音を出すとき、必要以上の動作をする。これも、体の負担になることなく、演奏によい効果を与えているのであれば問題はない。小さい頃はいいかもしれないが、中学以上の、特に力が強い男性は、音が乱暴に聴こえることもある。

では、どこで判断するかといえば、耳で判断する。できることなら体の動作を小さくした演奏と大きくした演奏で聴き比べるといい。変わらなければ動作は小さい方がいいと個人的には思うが、テクニックではなく、意識に影響があると思うので、自分自身で判断しよう。

最近は、動画が気楽に取れるので、動画でチェックすると、自分のイメージと違った動作をしていることに気づくこともあるだろう。

6. 力を抜くために体を動かす

力を抜く為に、動作が必要になることはあるかもしれない。ただし、本当に力を抜く動作になっているのか疑問に思うこともある。体の力を一生懸命抜いて、肘や手首が硬い人をよく見かける。肘や手首の力を抜こうとしている場合も、きちんと抜けていない場合が多いように感じる。

もう一度、よく考えてみよう。その動作で力が抜けているか、演奏に悪い影響を及ぼしていないか。

そもそも力が入らないようにすることが大切で、大きな動作をしなければ力が抜けないのであれば、演奏のフォームを見直した方がいい。脱力は、ツェルニー30番以上の実力で、体も精神面も成長し、いろんなことに注意ができるようになった中学生くらいから意識をするようになると思うが、ただ指の訓練が足りないだけなのに、力を抜く動作で速いパッセージをごまかしてしまうことがある。

脱力について詳しい解説は、別の機会にするが、脱力の動作をするのも目的を持ってほしい。

    • 力を入れずに演奏する練習をする
    • 曲の途中で自然な脱力の動作ができるよう、エチュードを使い、脱力する練習をする
    • このフレーズは長くて弱い指を連続で使い力が入りやすいので、途中で脱力させる動作が必要だ

このように、なぜ意識的に脱力させる動作をするのか理由を探してみるといい。間違っても、自分は力が入りやすいから脱力の動作をするなどということがないようにしよう。力が入りやすい弾き方をしているのなら、動作に頼らず、力を入れずに演奏できる弾き方を考える方がいいのではないか。

まとめ

ここで示したこと以外にも、人によって様々な動作がある。リズムにもフレーズにも合わず脱力しているわけでもなく、教えていてなぜと疑問に思うことも多いが、真剣にやっている人である程、そのようなことがあるので、ピアノ以外の動作、すなわち生活の動作が影響しているのかもしれない。

動作は、演奏によい影響を与えるために必要な場合もあるが、基本的にはシンプルでありたい。ピアノは、指を速く動かすこともあり、動作が大きければ速い動きはできない。また、指の動きが必要以上に抑えられてしまい、指の動きががいつまでたってもよくならない原因になる可能性もある。

動いては絶対にいけないということではないし、演奏中、ある程度、体は動く。人によって、指の長さ、筋肉のつき方、体格、柔軟さなどは違い、演奏に適した動作も人それぞれだ。他人に必要なくても自分には必要な動作かもしれない。無駄な動作は、演奏に悪い影響を与えることが多いので、できる限り、シンプルな動作を心掛けることをお勧めする。

 

ジユン

ジユン練習って最高!

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東京都出身。仕事は、ピアノ教えたり、たまに弾いたり、曲を書いたり。ピアノ好きだが練習は大嫌いであまりしない。そのため、演奏はミス多め。好きな言葉は、「かゆいところはかゆいまま」。好きなスポーツは野球。ニックネームは、兄貴だけが使う呼び名、由来は謎。
年齢は、理由もなくなんとなく内緒にしていたらどんどん言いづらくなって、いまだなんとなく非公表。

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