保持の練習方法

ツェルニーでは、よく出てくる一つの音を保持したまま、他の音を弾くテクニック。ツェルニー100番など、初級向けのエチュードをやっている人にはお馴染だが、ツェルニー30番が初めての場合は、戸惑うようだ。一時的に保持することはできても、同じ動きで連続して音を保持するのは難しい。大きい曲は、必ずこのテクニックを使うことになるので、早めにマスターしたいところだ。

うまく保持できないときの症状

  1. 保持音を保持できず、音を切ってしまう
  2. 保持する必要がない音も保持してしまう
  3. 速度を上げることができない

このうち「3.速度を上げることができない」については、1.2.ができるようになってから、徐々に速度を上げていくしかない。下記の譜例のように、保持する音が同音(同じ音)で連続する場合、ポイントとしては、保持する音をギリギリまで保とうとしないことだ。音を保ち続けることに意識を向けすぎるあまり、次の音が間に合わない。しっかり保持する練習をしたら、速度を上げても、適切なところまで音を保つはずだ。神経質になり過ぎることがうまくいない原因になることがあるので気をつけよう。

保持する音が違う音の場合は、つなげられる場合とつなげられない場合がある。使える指によるだろう。ただ、つなげられる場合でも、あまりに力が入る場合には、無理して繋げずに、ペダルをうまく利用することが多い。そもそもなぜ音を保持しているのかといえば、よりよい音を奏でるためであり、音を保持するために速度や表現が乱れるようなことがあってはいけない。

ここでは伴奏で出てくる同音の保持が連続する場合の練習方法を示す。

基本的な演奏方法

よく伴奏に出てくる同じ音高の保持音が連続する場合、同じ音を完全に繋げるのは非常に難しいので、上部(もしくは下部)の旋律を出している間に保持音を切って、繋がったように表現するのが普通である。左の譜例でいえば、「前の保持音ドを切って、ソとド」をつなげることで、滑らかに演奏できる。

 

練習方法

赤は保持する音、青は保持してはいけない(しっかり上げる)音だ。ミを上げられなくてもそんなにかわないのではと思うかもしれないが、印象の違いはかなり出る。特に譜例のような速い曲は、重くてはっきりしない伴奏になる。

そこで、下記のように練習するとよい。

  • ゆっくりした速度で練習する
  • 「ド」に強いアクセントをつけたり、鍵盤に押し付けるような打鍵をしないようにする
  • 水色の部分は、ミとソは音はつなげるがソを弾いているときにミの音が残らないようにする
  • 手首を持ち上げ、ドとソを同時に切り、アクセントがつかないように次の音を弾く
  • 慣れてきたら少しずつ速度を上げる。手首の動作はだんだん小さくなる
  • 速く弾く場合、最終的には、ドとソを同時に離すのではなく、次の音を弾く直前で一度、「ド」だけを離し、「次のド」に遅れずに入るようにする

ゆっくりの間はわかりやすいが、速度を増すにつれ、よく聴いて、ドを離すタイミングが早すぎたり遅すぎたりしないように注意しよう。

レッスンの様子

作品を演奏するときの考え方

音を保持したまま他の音を弾くテクニックは、作品の中でもよく出てくるが、その音を保持することによってどういうイメージに仕上げるかが大切だ。例えば、明らかにペダルを使うところで、非常に難しい形で音を保持する音があった場合、教科書通りに音を保持して、完成度が上がるのだろうか。そうとは限らない。もちろん難易度で判断するわけではない。難しくても、必要なところは保持する。

実際に、不可能な音域で保持を指定されていることがある。その場合は、ペダル(ダンパーペダルやソステヌートペダル)を使い調整することが多い。同じフレーズ内でも、繋げられる音と繋げられない音が出てくる場合もある。ペダルをうまく使い繋げたような演出にするときもあれば、あえて全て同じように切っても、流れるような演出ができることもある。「同じように」というのがポイントだ。つなげられるところは繋げて、つなげられないところは切ってというのは、変でなければいいが、雰囲気をよくするのは難しいかもしれない。滑らかなフレーズを表現するのは難しいのではないか。

保持している音の強さ

保持している音が、メロディーなのか、伴奏なのかでも、考え方が変わってくる。どのパートを担当しているのか、そこに至るまでの流れなどで、目立たせるのか、控え目にするのかを考える。強弱をつける場合は、鍵盤に指を強く押し付けやすいので注意しよう。

保持することが目的ではなく、保持することによって、どのような表現ができるのか考えるのが大切だ。

<後記>

初級のツェルニーを練習していると、譜例の形ばかり出てくるので、保持するのが普通、保持していなければうまく弾けない、保持してしまうという、保持依存に陥った時期があります笑。確かにペダルを使うよりは、濁らずクリアですが、軽い感じを出すのであれば、音は残さない方がいいですよね。それにしても、和音を分散させた伴奏形体って難しいです。バイエルからやっていてお馴染なので、全く気付かなかったんですが、僕、「ドミソドミソ」とか「ドソミソドソミソ」とか苦手です。

最近ようやく、「俺、この音型、すごい下手だ」って、気づいちゃったんですよね笑。全然うまくならない笑。

ジユン

ジユン練習って最高!

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東京都出身。仕事は、ピアノ教えたり、たまに弾いたり、曲を書いたり。ピアノ好きだが練習は大嫌いであまりしない。そのため、演奏はミス多め。好きな言葉は、「かゆいところはかゆいまま」。好きなスポーツは野球。ニックネームは、兄貴だけが使う呼び名、由来は謎。
年齢は、理由もなくなんとなく内緒にしていたらどんどん言いづらくなって、いまだなんとなく非公表。

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