ジユン僕が、ハノンの前に、幼稚園の頃から、「ピアノのテクニック」というのを使って指の練習をしていたためか、苦手意識も何もなく、淡々とやっていた記憶、むしろ音が単純だから好きな練習かなとも思っていました。ピアノを教え始めてから生徒に苦手な練習を聞いたら、「両手で指を動かすやつ」と言われて、自分の感覚で教えてたらまずいと思いましたね。僕が嫌だったピアノのテクニックという緑のバカでかい本をみんなハノンで感じてるんですね



ハノンは、みんな使っているのかなと思ったら、ほとんどやったことがないピアニストもいるようですね。指の動きが悪くなってきたら、バッハを練習するそうな。バッハは聴くものだと思っている僕には、意味がわからないというか、わかるのを拒絶しています。
基本情報
教本タイトル
『ハノン ピアノ教本』『60の練習曲によるヴィルトゥオーゾ・ピアニスト』
Le Pianiste virtuose en 60 exercices
基本データ
- 出版社:全音楽譜出版社、音楽之友社、G. Schirmer ほか
- 著者:Charles-Louis Hanon (1819–1900)
- 初版:1873年(フランス・ブローニュ)
- 対象レベル:初級〜中級(基礎練習〜高度テクニック強化まで)
- 収録曲数:全60課
- 代表的な課題:5指の独立練習、音階、アルペジオ、トリル
- 学習目的:指の独立・強化、均等なタッチ、基礎技巧の習得
- おすすめ年齢層:小学校高学年〜音大受験生、大人の学習者
概要(イントロ)
ハノン『ピアノ教本』は、ピアニストの基礎力を鍛える代表的教材として世界中で用いられてきた。
全60課から成る本書は、5指の均等な動き・音階・アルペジオ・トリルといった要素を体系的に網羅し、練習者の技術を徹底的に強化する。日本でも古くから「ピアニストの基礎練習の代名詞」とされ、音大受験生や専門家の練習課題としても定着している。
特徴
- 体系的な構成:1〜20番は5指の独立、21〜43番はさらに進んだテクニックと題して5指の独立から、スケール、半音階とアルペジオ、44番以降はトリルやオクターブなど基本的な演奏技術から応用させ高度な技術に展開。
- 反復性の高さ:シンプルなパターンを繰り返す構造で、指の筋力と独立性を確実に養う。
- 普遍的教材:国や時代を超えて使用され、クラシックからポピュラーまで幅広いジャンルの演奏者に役立つ。
学習のポイント(実践アドバイス)
- メトロノームを使い、低速から正確に指を動かすことが重要。
- 均等なタッチと音量を意識し、左右の手のバランスを揃える。
- スピードを上げるよりも「音の粒をそろえる」ことを優先する。
- 毎日少しずつ取り入れることで、効果が積み重なっていく。
レベル感と進度
- 初級者:1〜20番を部分的に導入し、基礎固めとして使用。
- 中級者:スケールやアルペジオ(21〜43番)を中心に練習。
- 上級者:トリル、オクターブ(44番以降)を取り入れ、技巧を磨く。
- 全課題を通す必要はなく、学習段階に応じて選択的に使うのが現代的な方法。
代表的な課題
- 第1番〜5番:5指の独立を徹底的に養う。
- 第39番:音階(長調とその平行調、和声的短音階と旋律的短音階)指替えの精度とスムーズさを学ぶ。
- 第40番:半音階
- 第41番:アルペジオ
- 第46番以降:トリル、オクターブ、重音、トレモロなど。均一な音と体力を必要とする課題。
関連教材・リンク
- ツェルニー『30番練習曲』:音楽的表現を含む練習曲。
- ショパン『練習曲集(エチュード)』:高度な技巧と音楽性を結びつける。
- バーナム『ピアノテクニック』:小分けの基礎練習として現代的に活用可能。
解説
ハノンとは
「ハノン・ピアノ教本(The Virtuoso Pianist in Sixty Exercises)」は、シャルル=ルイ・ハノン(Charles-Louis Hanon, 1819–1900)が編纂した指の基礎練習曲集である。
全60曲から構成され、19世紀末に出版されて以来、世界中のピアニストに親しまれてきた。
その目的は単純明快だ。指を均等に動かし、独立性と強靭さを獲得すること。ハノンはメロディや和声を持たない無機質な音型が続くことで知られており、「退屈」と評される一方で、「これを避けてピアノを学ぶことはできない」と言われるほどの存在感を放ってきた。
教本の構成
ハノン教本は大きく三部に分かれている。
第一部:指の基礎練習(No.1〜20)
スケール風の短い音型を繰り返しながら、5本の指を均等に使うことを狙う。最初の練習曲は「1-2-3-4-5」と順に動かすだけのシンプルなものだが、後半に進むにつれて広い音域を使う運指練習へと発展する。
第二部:スケールとアルペジオ(No.21〜43)
長調・短調のスケール、分散和音、アルペジオの練習が収録されている。これにより、実際の楽曲に直結するテクニックが養われる。
第三部:応用的な練習(No.44〜60)
オクターヴ、トリル、連打、リズム変奏など、高度な技巧練習が並ぶ。ここまでやり抜くと、演奏体力やコントロール力が飛躍的に強化される。
ハノンの意義
ハノンは「無味乾燥な練習曲」と批判されることもある。しかし、多くの教育者が取り入れるのは理由がある。
- 効率性短時間で集中的に指を鍛えられるため、基礎練習の定番となった。
- 汎用性特定の曲に偏らず、どの作曲家の作品にも通じる基礎体力を養える。
- 客観性旋律的な楽しさがない分、技術そのものに集中できる。
つまりハノンは「退屈だからこそ強い」教材であり、音楽性に惑わされず基礎技術に向き合える構造を持っている。
練習のポイント
1. ゆっくり正確に
「速く弾く」ことを目的にする学習者は多いが、最初はゆっくりとしたテンポで、音の粒を揃えることが肝心だ。正確さを犠牲にして速さを追えば、かえって癖が残る。
2. メトロノームを活用
一定のテンポを保つことが基礎練習の要である。メトロノームで正確な拍を刻むことは、リズム感を整える意味でも重要だ。
3. 両手練習と片手練習の使い分け
片手で確実にパターンを習得したうえで両手に移行する方法が効果的だ。弱い指(薬指・小指)を意識的に鍛える意図も忘れてはならない。
4. 声に出して数える
単純な練習だからこそ注意が散漫になりやすい。声に出して拍を数えると集中力が保たれる。
賛否両論の存在
ハノンをめぐっては、教育現場でも意見が分かれる。
- 肯定派は「指の基礎作りには不可欠」とし、毎日のルーティンとして取り入れる。
- 否定派は「音楽性がなく、練習の動機づけにならない」「時間がもったいない」と主張する。
現代の教育では、ハノンに固執する必要はないとされる一方で、「基礎を徹底するならハノン」という考えは依然として根強い。結局のところ、学習者の性格や目標によって有効性は変わる。
世界のピアニストとハノン
多くの巨匠も、少年時代にハノンを通過してきた。リストやルービンシュタインなど、超絶技巧を誇るピアニストたちも、基礎練習の重要性を説いている。
日本でも、ハノンは長年にわたりピアノ教育の柱の一つとして扱われてきた。最近ではYouTubeで「毎日ハノンを続けてみた」企画が人気を集めるなど、古典的な教材でありながら現代的な形で再評価されている。
ハノンを続ける工夫
- 日課として時間を区切る:朝の10分など、習慣化が効果的。
- 短い目標を立てる:1日1エクササイズ、1週間で5エクササイズといった形。
- 記録をつける:メトロノームのテンポを少しずつ上げて成長を可視化する。
- アプリや動画と組み合わせる:単調さを和らげるために現代的ツールを利用する。
保護者へのメッセージ
子どもにハノンを課す際には「なぜこの練習が必要なのか」を説明することが大切だ。単に「やりなさい」と言うのではなく、「この練習で指が強くなるから、好きな曲がもっと弾けるようになる」と伝えればモチベーションは高まる。
総括
ハノン・ピアノ教本は、時に「退屈」「機械的」と批判されながらも、150年以上にわたりピアノ教育の現場で使われ続けてきた。
その理由は、シンプルであるがゆえに普遍的な効果を持ち、演奏の土台を築く力があるからだ。
基礎を軽んじて華やかな曲ばかり追いかけると、どこかで壁にぶつかる。そのとき支えとなるのが、日々積み上げたハノンの練習である。
ピアノを学ぶ者にとって、ハノンは単なる教本ではなく、基礎力を象徴する「修練の書」と言えるだろう。
ハノン『ピアノ教本』は「単調だけれども避けて通れない基礎練習」として、今なお世界中で愛用されている。全課題をこなすことが目的ではなく、学習者のレベルに応じて必要な部分を選んで取り組むことこそ、現代的な活用法といえるだろう。












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