僕もこの教本からピアノ人生が始まりました。最初の左右別々に練習する部分は除き、いきなり両手の曲から始まった記憶があり、当時使っていた教本を確認してみると、記憶は正しかったみたいです。そして、ほとんど暗譜で弾かされていたようです。でも、記憶では、楽譜を見ながら演奏できないことを毎回怒られていたような気がします。
ト音記号から始まりますが、加線が出てきたあたりから全く読めなくて、最初の曲だけ先生がドレミを書いてくれましたが、次の曲から一切書いてくれずに、ひたすら注意され続けてました。加線というシステムはどうにかならないかといまだに思います。
一般的には、唐突にヘ音記号が出てきますので、その時点で挫折するみたいなのですが、僕の場合は、その前段階で苦手になっていて、ヘ音記号はほぼ記憶にないです。
ところが、小学生になる頃までには、音を読むこと自体に抵抗は全くなくなっていました。ただ、バイエルで読めるようになったかと言えば、違うと思います。ピアノを教えている立場からも、バイエルだけで譜読みまで十分にというのは難しいかなと感じています。どちらかといえば弾き方を教えたいというか、そういうのが目的であるような構成かなと感じています。
幼児から小学低学年なんかは、一つの曲で、あまりいろんな要素を加えすぎると混乱してしまうんですよね。そして、読んであげると、なんでもかんでもわからないと言って読んでもらおうとする・・・。それ以上に、バイエルで教えられる子供がもはや少数派になってしまっています。
なんだかんだでこれをやる子がすごく上手くなるとは思うんですけどね。
ジユン特に子供には、楽譜の見やすさを重視すると良いでしょう。僕が使っていたのは音楽之友社のやつです。デザインが有名な赤バイエル、黄バイエルはちょっと羨ましかったです。





全音のやつはこの見た目が有名ですよね。ピアノやっている人にとってはですけど。出版社によって、併用曲が違ったりします。チェルニーあたりをやり始めると、まだバイエルは楽しかったかなと思いますけどね。でも、やっている時は辿り着いてないので、まぁつまらなかったと思います。ピアノは好きだったですけどね。
バイエルの基本情報
教本タイトル
『バイエル ピアノ教則本(Op.101)』(ピアノ奏法入門書)
Beyer, Ferdinand : Vorschule im Klavierspiel Op.101
基本データ
- 出版社:全音楽譜出版社、音楽之友社、ほか各社から出版
- 出版国:ドイツ
- 著者:フェルディナント・バイエル(1803–1863)
- 対象レベル:幼児〜初級(大人から子供まで広く対応)
- 譜読みタイプ:両手ともト音記号、加線、中盤からヘ音記号
- 音域:ヘ音記号は下第2線(ド)、ト音記号は上第4線(ラ)
- 開始ポジション:左手がミドルCに置く、5指のCポジション(1oct違いで両手共にドレミファソに指を置く)
- 学習方法:ステップアップ式(階段式)じっくりタイプ
教材の特徴
- 主な内容:片手奏から始まり、両手奏、分散和音、スケール基礎。基礎的なリズム・拍感の学習に重点。子供の指の強さを意識したのか、和音は比較的少なく、ほとんどの曲が、右がメロディ、左が伴奏にも関わらず、左手も和音は少ない。
- ページ構成・難易度上昇の流れ:全106曲。前半は片手奏(右手・左手別々)、後半は両手奏・和声・リズム発展へと進む。順序通りに進めれば自然にステップアップできる構造。
- 指の動きに重点を置き、確かなテクニックと滑らかな指の動きを目指す、リズムや譜読み、その他の知識などは他の教則本と併用することを推奨
- 出版社にもよるが、ドイツ音名で学ぶことができる
メリット
- 生徒・保護者に伝わりやすいポイント:定番教材で知名度が高く、「ピアノ学習の入口」として安心感がある。
- レッスン現場で使いやすい点:シンプルで導入しやすく、達成感を積み重ねやすい。大人の初心者にも適用可能。
- 和音が少なく指が弱い子供でも比較的取り組みやすい
- 左手は、和音ではなく分散和音での伴奏が大半だが、意外と難しいテクニック。初期の段階からずっと似た形での伴奏が続くため、バイエルをやった人は左の伴奏が滑らかになっている。
- 練習曲の目的がわかりやすく、全体的に指がほぐれて動きがよくなるように構成されている。数は少ないが、ポリフォニー、対位法などもあり、細かく繊細なテクニックをメインに身につけていく。
- 3和音は、出てこない。左手も分散型で、後半に3度の重音が両手とも出てくるが、初めての人にはかなり難しい。だが、無理に3つの音を押して、打鍵の力みが常習化するよりも、丁寧にやっていく方が将来的にはいいだろう。
デメリット/注意点
- 学習の停滞が起きやすい箇所:旋律が単調なため、中盤以降でモチベーションが下がりやすい。
- 両手共にト音記号で学習をするが、途中から突如ヘ音記号が当然のように出てくるため、急に難しくなったと感じやすい。そのことを踏まえて、あらかじめ、ヘ音記号の学習をしておいた方がよい。
- 他教材と併用した方が良い点:表現力や多声的な練習は不足するため、併用教本と組み合わせるのが望ましい。
- 譜読みの力がつきにくい。予測しやすい単純なメロディーとリズムや伴奏が比較的単純。これはメリットでもある。リズムや楽典の知識、譜読みも他との組み合わせを推奨。
関連教材
- 併用できるシリーズや次のステップ: わたしはピアニスト・ブルグミュラー『25の練習曲』 ・ツェルニー100番・30番 ・ピアノランド、バスティンなど現代的な教材など
バイエルの解説
バイエルとは?
「バイエル ピアノ教則本」は、ドイツの作曲家フェルディナント・バイエル(1803–1863)が子どもや初心者のために著した教材であった。正式名称は『ピアノ教則本(Op.101)』であり、19世紀半ばに出版されて以来、世界各国で長く使用されてきた。日本では明治期にアメリカ経由で導入され、戦後も「ピアノを始めるならまずバイエル」と語られるほどの定番教材であった。
日本におけるバイエルの地位
日本のピアノ教育史において、バイエルは「初めて触れる教材」として圧倒的な存在感を誇った。昭和期のピアノブームでは、子どもたちの多くがバイエルを出発点とした事実は周知のとおりである。そのため「バイエル=初心者」という図式が、長らく社会に定着していた。
しかし近年は、バスティンやピアノランドといった体系的かつ親しみやすい教材が登場し、バイエル一辺倒の時代は過ぎ去った。それでも教育史上の重要教材であることに変わりはない。
教本の構成
本書は全106曲で構成され、上巻と下巻に分かれる。
- 上巻(1〜47番):片手奏から始まり、リズムや譜読みの基礎を身につける。
- 下巻(48〜106番):両手奏へ進み、和声感覚やより複雑なリズムを学ぶ。
段階的に難易度が上がるため、順を追って進めれば無理なくステップアップできる設計となっている。
バイエルの教育的意義
この教材の最大の特徴はシンプルさにあった。
- 音域は狭く、子どもでも弾きやすい。
- リズムは単純で、拍子感を養いやすい。
- 短い旋律が多く、達成感を得やすい。
こうした小さな成功体験が、学習者に「ピアノを弾く実感」を与え続けてきた。また、和声感覚を自然に身につける構造は、後のブルグミュラーやソナチネへの橋渡しを果たしてきた。
批判と課題
しかし批判も少なくない。旋律は単調で飽きやすく、19世紀ヨーロッパを背景とするため現代の子どもには合わない面もある。さらに技術的な幅に限界があり、多声的な練習などはあまり含まれていない。今日ではバイエルを部分的に用い、補助教材と組み合わせる指導が一般的になっている。
他教材との比較
- バスティン:挿絵や理論要素を取り入れ、楽しく学ぶ工夫が豊富である。
- ピアノランド:リズムやソルフェージュと連動し、音楽表現を重視する。
- バイエル:装飾を排し、譜読みと鍵盤操作の基礎に特化している。
教育方針によって「音楽性を重視するか」「基礎を徹底するか」が分かれ、選択が異なるのが実情である。
現代での活用方法
今日ではバイエルを最初から最後まで仕上げるよりも、導入教材として前半を中心に使う傾向が強い。数十曲で譜読みとリズムを習得させ、ブルグミュラーなどに早めに移行するのが主流である。大人の初心者には、余計な装飾がない構成がむしろ適しているといえる。
バイエルを学ぶ意義
バイエルが与えるものは、単なる技術習得だけではない。
- 毎日の練習習慣を作る。
- 一歩ずつ進む達成感を得る。
- 音楽基礎を固める大切さを知る。
退屈に見えても確かな基礎。これはピアノに限らず、あらゆる学びに通じる真理である。
出版社による違い
出版社により、原点にはない曲が導入されていたり工夫されている。童謡を入れているものもあれば、リズム練習を多分に取り入れているものもある。著者が使っていた音楽之友社のこどものバイエルでは、リズム練習が多いことに気づき、子供によってよく考えてあげることが大切だと思った。
また、大人から始める際に、あえて音符の小さいものを選ぶ方がいるが、大きい方が見やすいから大きいものにして慣らしていった方がいい。「こどもの」とタイトルにつけてくれたから困ったもので、昔からある「こどものバイエル」が大人から始める人に最適であるように感じている。
結論
バイエル ピアノ教則本は、日本のピアノ教育を形づくった歴史的教材であった。現代では新教材の併用が進むものの、そのシンプルな基礎練習の価値は今も揺らがない。学びの原点としての意義を、改めて見直すべき時期に来ている。
出典
- 「ピアノの『バイエル』とは?目的・難易度(レベル)・レッスンで使われる理由」 coeteco,2023年。
- 「バイエルのピアノ教則本はなぜ世界的ベストセラーになったのか?」 Ontomo Magazine,2021年11月7日。
- 「バイエルのピアノ教則本の最大の特徴として、1〜64番で“静かにした手”のトレーニングを徹底的に行える点が挙げられる」 Plumeria Music Column












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