楽典

2. 楽典を学ぶこと

1. 楽典を学ぶ目的

音楽の世界では、楽器の演奏に必要な技術を習得するために「楽典」と呼ばれる基礎的な理論を学ぶことが一般的だ。楽典には音楽理論の基礎や音符の読み方、音階や和音、リズムやメロディーなどの要素が含まれるのは、前述した通りである。

楽典を学ぶ目的は、楽譜の読み方、音楽の用語や記号、きまりを学ぶだけではない。演奏技術、楽曲の理解力の向上につながることを意識しなくてはいけない。楽典を学ぶことで、音楽の基礎的な知識を身に付けることができ、音楽をより深く理解することができる。それは、自分が演奏している曲の構造や要素の理解へとつながる。

曲の構造や要素の理解は、表現力を高める。楽譜を読み、理解し、分析する能力が向上することで、演奏の正確性も向上し、自分自身が望む表現を実現することができるようになるだろう。

また、楽典を学ぶことで、他の音楽家とのコミュニケーションがスムーズになるというメリットもある。授業を受けるとき、または音楽家同士の議論では、抽象的で感覚的なことを説明する機会が多い。お互いの意思の疎通を図るには、共通の言葉を使うことが重要なのは言うまでもない。楽典を学び、音楽用語や楽譜の表記法に精通すれば、他の音楽家とのコミュニケーションが円滑になる。

このように、演奏技術や音楽理解力の向上だけでなく、表現力やコミュニケーション能力の向上も重要な目的であることがわかる。楽典を学ぶことで、音楽の世界にもう一歩踏み込むことができ、より深く音楽を楽しむことができるようになるだろう。また、音楽理論や音楽制作、楽器演奏など、音楽に関する幅広い分野での活躍も期待できる。是非、楽典を学び、音楽の世界をより深く理解しよう。

2. 楽典を学ぶことで得られる効果

楽典を学ぶことには、様々な効果がある。ここでは、楽典を学び得られる効果について、詳しく解説している。

(1)楽典を学ぶことによって、音楽の基礎知識が身につく

音楽は、音符やリズム、メロディーなどの要素が組み合わさって成り立っている。楽典を学ぶことで、これらの要素について理解を深めることができる。そのため、音楽を演奏する上で必要な基礎知識を習得することができ、より高度な演奏技術を磨くことができる。

(2)音楽の理解力が向上する

音楽を演奏するには、音楽的な表現力が必要だ。楽典を学ぶことで、音楽の基本的な構造や表現方法について理解を深めることができる。これにより、音楽を演奏する際に、自分の表現意図を正確に表現することができるようになる。

(3)読譜力の向上する

楽典には、音程や音部記号について学ぶ。特に音部記号は、専門の楽器では使わない記号も学び、認識力が向上するだろう。また、調判定や移調、和声に関する知識も学ぶため、予測する力もつき、新曲試奏にも有効である。

(4)演奏の正確性が向上する

楽典を学ぶことによって、音符やリズム、音階などの基礎的な要素を正確に把握することができる。これにより、演奏の正確性を向上させる。また、楽譜の読み方や音符の記号の解釈に精通することで、誤読を防ぎ、勘違いによる音の誤りも減ることだろう。

(5)音楽に対する理解が深まる

音楽は、感性的なものであり、理屈では理解しきれない部分もある。しかし、楽典を学ぶことによって、音楽の理論的な部分について理解を深めることができる。この理解が深まることによって、音楽をより深く味わうことができるだろう。

(6)音楽の表現力が向上

音楽の基本的な構造や表現方法について理解を深めることができる。

(7)創作性が向上

音楽を作曲する際には、音符やリズム、和声などの基礎的な要素を把握しておく必要がある。楽典を学ぶことによって、これらの要素について深く理解し、自分自身の音楽的なアイデアを具体的な形にすることができる。

(8)他の楽器を演奏する際の基礎が身につく

楽典は、音楽の基礎的な要素を学ぶことができるため、楽器を演奏する上での基礎となる知識を身につけることができる。また、様々な楽器の特徴を学ぶ項目が含まれる場合もある。そのため、楽器を演奏する際に必要なリズム感や音感などの基礎的な要素を身につけることができる。

(9)コミュニケーション能力の向上

授業を受けるとき、グループで演奏するときなど、感覚的な部分が多い音楽では、意志を伝えることが難しい。その感覚的な部分で、共通している部分を楽典では、ある程度、まとめられている。円滑で、認識の違いを少なくすることにも役立つだろう。

2. 楽典を学ぶ方法

1. 教材の選定

まずは、楽典の教材を選ぶ。楽典の教材には、初心者向けから上級者向けまで様々なものがある。自分のレベルや目的に合った教材を選ぶことが大切だが、初めて学ぶ場合で楽器経験も少ない人は、子供用の教材が、必要な内容が程よくまとめられていていいだろう。

2. 時間を確保する

楽典を学ぶためには、時間を確保することが大切だ。毎日少しずつでも学習することで、徐々に理解度を深めることができる。また、定期的に復習することで、理解が定着し、忘れることを防ぐことができる。

3. 基礎を徹底する

楽典は、音楽の基礎となる理論や知識を学ぶものだ。そのため、基礎的な要素について徹底的に理解することが大切である。例えば、音名や音価、リズム、和声といった基本的な要素をしっかりと理解するようにしよう。一般的な楽典の書籍では、譜例が難しい場合が多いので、1.の教材選びは注意する。

4. 練習問題を解く

楽典の教材には、練習問題が含まれていることが多い。練習問題を解くことで、理論的な知識だけでなく、実践的なスキルを身につけることができる。練習問題に取り組むことで、自分自身の理解度を確認し、課題を発見することができるが、解説が少なく、また答えが一つでないことも多いため、独学で学ぶ場合は、やはり子供用の教材がわかりやすいだろう。教材によっては、問題がないことや逆に問題中心で知識がポイントだけのこともあるので、内容はしっかりと見極める必要がある。

5. 演奏しながら学ぶ

楽典を学ぶことで、楽器を演奏する際の基礎が身につく。そのため、楽器を演奏しながら楽典を学ぶことは非常に大切だ。例えば、練習している楽曲のコード進行を調べたり、逆に楽典で学んでいるコード進行が、今まで学んだどの楽曲に使われているのかなど、演奏と理論をリンクさせることで、理論的な知識と実践的なスキルを同時に身につけることができるだろう。

6. オンライン教材を利用する

今では、オンライン上に楽典の教材がたくさんある。たくさんの知識を身につけた方がいいとはいえ、ポイントやコツを教えてもらった方が、効率が上がり、結局は多くの知識を身につけられることになる。また、音声も提供している教材であれば、イメージもしやすく定着しやすい。YouTubeや音楽学校のウェブサイト、オンライン学習サイトなど、多くの場所で楽典を学ぶことができるため活用しよう。自分のレベルに合わせた教材を選び、効率的に学習することができる。

7. 専門家に相談する

楽典は、難解な理論や知識が含まれている。そのため、自分で理解することが難しいこともあるだろう。そんなときは、専門家に質問すれば、自分で調べるよりも早く的確に、より深い理解を得ることができます。

3. 楽典を学ぶ上での注意点

1. 基礎をしっかりと学ぶこと

楽典は、音楽理論の基礎となる知識や技術が中心であるため、どの単元においても、理解力不足で基礎を押さえていないまま先に進んでしまうと、理解が追いつかず、混乱することがある。

2. 繰り返し練習すること

楽典は、理論的な知識だけでなく、音楽的な感性や技術を磨くための練習も含まれる。それは、言葉を覚えれば理解できたということではなく、実際に楽器を演奏したり演奏を鑑賞することで感じ取る練習も必要だ。練習は、繰り返し行うことで身につくもので、定期的に練習を行い、徐々にスキルを上げていくことが大切である。また、楽典は、問題演習がついていることもあるが、これも繰り返し解く練習をすれば、実践でも楽譜から素早く多くの情報を得る助けになることだろう。

3. 楽器を持っているとより理解が深まる

楽典は、音楽理論を学ぶことが目的で、楽器を持たなくて学ぶことはできるが、楽器を持っているとより深い理解が得られる。楽器を弾きながら楽典を学ぶことで、音楽理論が身につきやすくなる。楽器がない場合は、仮想楽器を使ったり、口ずさみながら練習を行うことで、理解を深めることができる。

4. 無理をしないこと

楽典は、一朝一夕に身につくものではありません。理解が追いつかなくなった場合や、練習が疲れてきた場合は、無理をせずに休息をとることが重要です。無理をしすぎると、疲れがたまり、かえって理解度が低下することがあります。自分の体調やペースに合わせて、無理をしないようにしましょう。

5. 聴く力を養うこと

楽典は、音楽理論を学ぶためのものだが、聴く力も養うことが重要だ。インターネットが普及する前は、音源を確認することが非常に困難であり、独学での楽典の学習は非効率であった。しかし、今の時代は、独学でも資料は比較的容易に入手できる。譜例の音楽を聴いたり、様々な演奏を聴き比べたりすることで、音楽的感性が磨かれる。また、楽器を演奏する場合にも、聴く力が求められる。演奏をする前に、曲を何度も聴いたり、他の人の演奏を聴いたりすることで、自分自身の演奏にも生かすことができる。

6. 継続すること

楽典は、長期的な学習が必要だ。短期間で完璧に身につけることは難しいため、継続的に行う必要がある。学習の進度は人それぞれだが、継続的に取り組むことで、徐々に理解が深まっていく。また、定期的な復習も重要だ。楽典の知識は忘れやすいものだが、定期的に復習することで、知識の定着度が高まるだろう。

楽典は、音楽の基礎となる理論や知識を学ぶのが目的だが、常に、自身の専門分野(楽器)に結びつけて学ぶことが大切である。楽典の理解が演奏に生かされ、演奏への取り込みが楽典の理解つながり、相乗効果をもたらす。関係ないことまで学ぶ必要もないと考える人もいるだろうが、音楽は、様々な要素が合わさってできていることを忘れてはいけない。

ジユン

東京都出身。仕事は、ピアノ教えたり、たまに弾いたり、曲を書いたり。ピアノ好きだが練習は大嫌いであまりしない。そのため、演奏はミス多め。好きな言葉は、「かゆいところはかゆいまま」。好きなスポーツは野球。ニックネームは、兄貴だけが使う呼び名、由来は謎。 年齢は、理由もなくなんとなく内緒にしていたらどんどん言いづらくなって、いまだなんとなく非公表。

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